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アトリエぱおとはBlog

イラスト:リンゴ

イラスト:絵具と人物

キッズクラス・ジュニアクラス中高生クラス・おとなクラスサマースクール 2020.08.19

サマースクール≪憧れの油絵に挑戦≫

憧れの油絵に挑戦

美術といえば「油絵」と思う方も多いのではないでしょうか?
レオナルド・ダ・ヴィンチもゴッホもピカソもルノワールも、

美術や歴史の教科書に載っているような有名な作品はほとんどが油絵です。
そんな憧れの「油絵」を夏休みに体験してもらおう、というのがこのプログラム「憧れの油絵に挑戦」です。

西洋で油絵が生まれたのが1400年代後半、日本に入ってきたのが1800年代中頃です。

みんなが見たことのある有名な作品を例に、ものすごくざっくり言うと、

ダ・ヴィンチの作品「モナリザ」が油絵が生まれた頃の作品、

高橋由一の「鮭」の作品が日本にはじめて油絵が入ってきた頃の作品です。

「モナリザ」(レオナルド・ダ・ヴィンチ)

 

「鮭」(高橋由一)

 


油絵は絵の具を上に上にを積み重ねていくのが特徴で、まさに絵を構築していくように進めていきます。

それは石やレンガを積み上げて壁を作っていく西洋建築にも重なります。
油絵は極めて長時間画面に向き合って制作するため、

自分と向き合うこととなり、作品は哲学的になります。

西洋美術を語る上で哲学は不可欠な要素であるのはそのためかもしれません。

もともとは油絵は教会などの壁に描いた壁画であったため、

紙のような薄っぺらい支持体ではなく、板やキャンバスに描きます。

このことも長時間画面と向き合うことを可能にしています。

アクリル絵の具や水彩絵の具との大きな違いは、絵の具がすぐには乾かないことです。
アクリル絵の具や水彩絵の具なら数分から数十分もあれば十分乾きますが、

油絵の具は数時間から数日かかります。
ですから計画的に進めないと、乾いていないところに塗ってしまい、色が濁ってしまうことになります。
計画的に進めることが苦手な子どもたちに制作させる上での難点はここです。
そのため、アトリエぱおの油絵は小学3年生以上と年齢制限を設けています。
また、絵の具の乾燥時間を設けるために全2回とし、前編、後編に分けて開講しています。

さて制作ですが、
油絵は500年の歴史のあるたいへん懐の深い世界です。
描きすすめ方は無数にありますが、今回のサマースクールでは、比較的オーソドックスな描きかたで進めます。

まずは、揮発性油で絵の具を薄めて、単色でデッサンのように描いていきます。
この時に何色を選ぶかで作品における基調色が決まります。
油絵は色を塗り重ねていく絵なので、最終的にはこの色は他の色の下に隠れてしまいますが、

この色が下地となって上の色にも影響を与えます。



描くモチーフ選びには苦労をします。

制作者は、初めて油絵を描くこどもたちです。

初めての絵の具や道具の扱いだけでも大変なのに、形をとるのも難しいとなると、なかなか進みません。

かといって、簡単すぎるものではやる気になってくれません。

また、西洋美術の伝統や匂いも感じてほしいので、それらを考慮して、

ガラス瓶と果物がモチーフです。


ワインボトルといきたいところですが、こどもたちの興味を引くように

色がカラフルでラベルがポップなビール瓶を選んでいます。

セザンヌやカラヴァッジオの絵のモチーフを参考にしています。

 

 

 

すっかり長文なってしまいましたね。

こう見えて私は油絵専攻出身のため、油絵を語るとつい長くなってしまいます。
油絵は500年続く歴史ある世界です。

先人の仕事の上に自分の仕事をほんの少し足し、下の代に引き継いでいくことを繰り返してできてきました。
ですから、ただ描き方を教えるのではなく、

私が学生時代に師から聞いたことに自分の体験や考察を加えて、

油絵や西洋美術という思想をこどもたちに伝えていきたいと思っています。

実際の制作については次回に。

 

浅原裕貴