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ピアノクラス 2012.07.05

ピアノレッスン日記 №145

原調(その曲の、本来の調性)で演奏するか否か。
私は原調重視派で、作曲家が作曲したその調で演奏すべきと思っています。
世の中には、演奏しやすいように、なんでもハ長調に移調した曲集も出ています。
しかしその曲にふさわしい調性というものがあって、どんなにフラットやシャープが多くなって演奏が難しくなっても、原調は大切だと思うのです。
難しければそれを弾きこなせるまで待たせればよい、とさえ思っておりましたが、しかし。
いつまでも待てない生徒がいることも事実。

ベートーヴェンのピアノソナタ 悲愴。
この曲のとても美しい2楽章を連弾に編曲したものがあり、それをレッスンで使うかどうか、正直悩みました。
原調は、変イ長調。フラットが4つ付きます。
編曲物では、ト長調にしてある。
これはシャープ1つで、原調よりも格段に弾きやすい。
しかし、失われるものもある。曲調が平板になってしまいます。

その生徒にとって原調で演奏する事は困難が予想され、おまけに部活や塾やいろいろ忙しい。
原調にこだわる利点と、有名な曲を連弾という二人がかりとはいえ演奏できる利点とを天秤にかけ、悩みに悩んだ末にレッスンで使用しました。

レッスンでは私が原曲を演奏して違いを聴き比べる事にしました。
ベートーヴェンが目指した音の響きは、こっちだよ、と。
ふたつの調の響きの違いを実感することができて、これはこれでよかったのかなと思っています。

ピアノクラス 溝尻雅子