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アトリエぱおとはBlog

イラスト:リンゴ

イラスト:絵具と人物

キッズクラス・ジュニアクラス 2021.08.25

夏の終わりにぴったりの絵本『おっきょちゃんとかっぱ』

「おっきょちゃんとかっぱ」

夏の終わりに親子で楽しむのにぴったりの絵本です。


主人公のおっきょちゃんが 川のほとりで遊んでいると
ガータロというカッパと出会い、お祭りに誘われます。
そこで庭先のきゅうりを何本か手土産にして
そのまま川の中のお祭りに連れて行ってもらいます。
川の中は なにもかもゆらめいてきれい。
そしておっきょちゃんはカッパからもらったお餅を食べて
カッパの子になって、おかあさんやなにもかもすべてを
忘れてしまいまいます。

しかしある時 自分のお人形が流れてきたのを見つけて
自分のおかあさんやおうちのことを思い出すのです。

さあカッパの子となってしまったおっきょちゃんは
どうやって元の世界に戻れるでしょうか。


かっぱ、きゅうり、川遊び、そしておっきょちゃんが
元の世界に戻るために閉じ込められる大きなスイカなど
夏を感じ、記憶するものがちりばめられたお話です。
また水彩で彩られた画面には 水の透明感や川底の薄暗さ
水面に差し込んでくる日差し、など
まるで一冊の水彩画集を見ているようです。

ぜひ ぱおっこにはその技法も味わってほしいですね。

 

 


昔は、お盆を過ぎて川や海で遊ぶと危ないから駄目よと
周りの大人から言われたものです。
広島市南区の猿猴川の猿猴(えんこう)とは
このお話にも登場するカッパのことだと言われ、
川岸にその像を見ることもできるのはご存じですか?

お盆を過ぎて泳いでいると その「えんこう」が
水中から足を引っ張ってきもを取ってしまうというので、
こども達はその日を境に川遊びや海水浴はおしまい。
おそらくは お盆頃から秋雨前線や台風の影響で
水かさが増して 泳ぐのは危ないということを
「えんこう」という姿にして
教えられていたのではないかと思います。


こういう絵本を読むと、
私たちは自然の中で生活していることを改めて感じます。
暑い時は水に親しみ、おもいっきり遊び楽しめますが、
時に自然は恐ろしい力で私たちの生活を脅かしてきます。
いつも危険と隣り合わせだということをいろいろな形で 
こどもの時から少しずつ知っていくことも大切ですね。
自由に遠出もキャンプも遠方のおばあちゃん宅にも、
出向くことができなかったこの夏でしたが、
せめて 絵本の中でお祭りや冒険を楽しんでほしいですね。


畠山 泰子


「おっきょちゃんとかっぱ」福音館書店
長谷川摂子・文 降矢奈々・絵