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ピアノクラス 2011.06.23
ピアノレッスン日記 №116
日本を代表する作曲家 中田喜直。
「めだかの学校」や「夏の思い出」など数多くの歌曲をのこしています。
ピアノ曲も多数あります。
子どものために書かれたピアノ曲は、小さい手の子どもでも無理なく弾けて、しかも安易な「子どもっぽい」曲ではなく、作曲家自身が常に言っていた「音楽は楽しくて美しいことが基本」という言葉通りに、どのフレーズをとっても美しく、子どもに親しみやすい曲です。
その中田喜直作曲の「エチュード・アレグロ」
エチュード=練習曲として随所に指の練習に最適なフレーズがちりばめられていますが、音楽的にも魅力あふれる曲です。
この曲を練習しているMちゃん。
左手のある部分を間違えて練習してきました。
左手を「ドソミソ ドソミソ」と弾いています。
右手の音は、「ド」なので、左手をこのように弾いても違和感はないし、
凡庸な作曲家なら、「ドソミソ ドソミソ」と作曲するかもしれません。
でも、中田先生はそこが違う。
音を少しだけ変えているのです。ある部分に「レ」が入っている。
音が違う事をレッスンで指摘し、
こうなんだよ、と弾いてみせたときのMちゃんの反応が、私はとても嬉しかった。
Mちゃんは、こう言ったのです。
「あ 変わった!」
そうなんです。「レ」がはいることで、奥深く隠された音型が浮かび上がってきて、美しい響きが生まれるのです。
そこに気づいてくれたことが、私はとても嬉しかった。
難しい曲をバリバリ弾きこなす生徒に育ってくれたら嬉しいけれども、
響きのちょっとした変化に驚き、感動する耳と心も育てたい。
私はそんなふうに思います。
ピアノクラス 溝尻雅子