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中高生クラス・おとなクラス 2022.01.23
おとなクラスの題材選び
おとなクラスの制作は個別制作がメイン。
絵画や造形などいろいろありますが、やりたいことを講師と相談しながらモチーフ・素材・サイズなどなど検討して進めます。
今回はおすすめのモチーフをご紹介します。
≪自分が行ったところや思い出の場所≫
実際に行ったときにスケッチをしたり写真を撮れれば一番良いですが、思い出を元に本やインターネットの画像を参考に描くのもありです。
ポイントは「自分が行ったところ」ということ。
実際にその場の空気を知って描くのと知らずに描くのとは大違いです。
そして、「行きたいと思っている場所」も、思い入れが強いという意味ではなかなか良いモチーフです。
その場所についていろいろ調べたリしてから臨むとなおよいですね。
(宮島の鹿)
(修学旅行で行った桜島)
≪自分の持っているもの≫
自分の持ち物の良いところは、「よく知っているものであること」そして「愛着があること」です。
写真よりも実物の方がなお良いです。
写真は2Dの情報でしかありませんが、実物は3Dなので情報量が多く、理解も深まりやすいです。
(家から持ってきた瓶)
≪家族、友人、飼っているペット≫
上に同じく、「愛着があること」が重要です。
(ペットの犬を粘土で)
風景画でも、静物画でも、それ以外でも、自分が「好きなもの」「知っているもの」「興味のあるもの」のほうが、良い作品になりやすいです。
言葉で考えてみてください。
ペットのうさぎについて、その魅力を語りたいとき、きっといろんなエピソードを交えてうさぎについて説明をすると思います。説明は詳細になったり、熱心さもあるでしょう。
しかし今初めて見たうさぎについて語るとき、見た目の可愛さは簡単に伝えることができても、そこには思い入れもなく、知識もないので話すことがないかもしれません。
知らないものは説明ができないのです。
好きなこと以外でも、「怖いこと」とか「悲しいこと」とか、そもそも物ではない抽象的な事柄や、自分が考え出した空想のもの・世界であっても、表現をしたいことについてよく知りよく考えていることが大事です。
シンプルなドローイングでも、重厚な油絵でも、それは同様です。
俳句のように短い言葉で表現するか、長編小説のように言葉を尽くして表現をするかの違いのようなものです。
もちろん、上記以外のモチーフがダメ、というわけではありません。
教室にたまたまおいてあった雑貨や、インターネットで見つけた風景画像(これについては著作権への配慮が必要になります)など、よく知らないものを描く場合は、よく知れば良いのです。
受験科でモデルを描く時には、休憩時間にモデルさんにいろいろ話しかけ質問したり、答えの内容以上に話す時の仕草や声のトーンでなんとなく人柄を探るようにさせます。
モデルさんを単なる「物」としてみるのではなく、人格や人生やエピソードと合わせてイメージして絵の方向性を探るためです。
モチーフを360度いろんな角度から観察したり、手触りを確認したり。
風景の場合Googleマップ等を利用して別角度を確認したりすれば理解が深まりますね。
作品のモチーフやテーマには「よく知っているもの」が望ましい。
そうでなければ、「よく知りたいもの、知ること考えることを楽しめるもの」がおすすめです、というお話でした。
おとなクラス担当 天野美穂