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キッズクラス・ジュニアクラス 2022.07.21
「レイヤーアート」
キッズ・ジュニアクラスは、透明なフィルムに描いた絵を重ねて作る「レイヤーアート」に3週連続で取り組みました。
かつてはアニメーションはすべてこの透明フィルム(セル)に描いていましたが、最近はデジタルが主流となったので、こどもたちには馴染みが薄そうでした。
「レイヤー」とは「層」や「階層」を意味します。
こどもたちには「かさなること」と説明しました。
そもそもデジタル用語ですが、現代思想や社会学でもよく使われる言葉です。
レイヤーはデジタルアートの世界ではとても重要な概念で、写真や絵画もこのレイヤーを何層も重ねることで表現されています。
ぱおではiPadをつかったデジタルアートにも取り組んでいますが、この「レイヤー」の概念を知ることで、より多彩な表現ができるようになります。
今後デジタルアートをもっと深めていくためには、まずはアナログで「レイヤー」を体験してもらおう、というのが今回レイヤーアートに取り組んだ目的です。
古来より絵画とはいかにして「空間」「奥行き」を表現するのか、ということが課題でした。
なぜかというと、わたしたちの住むこの世界は「縦、横、奥行き」の3次元であり「奥行き」のある世界です。
しかし「絵」は平面なので「縦、横」しかありません。
ですから、私たちの目の前にある世界を表現するには、ないはずの「奥行き」を、あたかもあるかのように表現しなくてはいけないからです。
そこで先人たちは「遠近法」というものを発明し、さも奥行きのあるかのような絵画表現をしてきました。
「遠近法」とは、「ものは近くにあるよりも遠くにあるほうが小さく見える」や
「山は近くにあるよりも遠くにあるほうがぼんやりとうすく、青っぽく見える」などの法則のことです。
これらを通常は1枚の紙の上で表現するのですが、このプログラムでは、レイヤーに分けて描くことで「奥行き」への理解を深めます。
今回は3層のレイヤーで描きます。
一番下にくるレイヤーは一番遠くにあるもの。つまり「空」です。
2番目にくるレイヤーは、山や草原、木々や建物です。
一番上にくるレイヤーは主役の「生き物」です。
この3枚を重ねると、奥行きを感じる絵になります。
また、透明フィルムに描いているので、生き物の位置を微妙にずらすこともできるので、「構図」を考えるきっかけにもなります。
今回は「レイヤー」を体験したので、2学期にはこのレイヤーを使ったデジタルアートにも挑戦してみましょう。
浅原裕貴 子どもクラス主任