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2013年以前の記事 2006.09.24
行ってきました。京都美術館天国ツアー
行ってきました。京都!!
引率は私、加藤。参加者1名、専門研究のNさん!!
7:30の新幹線自由席は座れなくって神戸まで立ちんぼ。
すがすがしい京都の空気。
第一目標の「ルーブル美術館展」が開かれている市美術館に着いたのは9:30。
噂に聞いた行列はできていなくてホッとしましたが、向かいの近代美術館を振り返ると長い行列が……そう、午後に我々も行く予定の第2目標「伊藤若冲と江戸絵画展」の初日に並んでいるのです。「朝からこんなじゃ午後はどうなるの?」とも思いましたが、今更焦っても仕方がない。気を取り直して予定通り「ルーブル展」へ
市美術館は古い建物で重厚な趣があります。広島の旧日銀をもう少し豪華にした感じといえば解りやすいかな。
今回のルーブル展はローマ時代に作られたギリシャ彫刻のコピーや壷が中心の展示内容。{小さいものはギリシャ時代のオリジナルもありました。}コピーといっても作られたのがすでに1800年以上前、オリジナルはさらにその4~500年前…歴史の厚みを感じます。
彫刻は美大受験生の画題の石膏像にもなっているマルス{展示名アレス…己斐教室にもありますね}などの全身像が沢山あって見ごたえがありました。
特に私が見たかったのは{自分も研究している}テラコッタ。(素焼きでできた物の意、例えば…植木鉢・埴輪や秦の始皇帝墳墓の兵馬ヨウ、身近なところでサマースクールのシサーなどね)
そのテラコッタの型物の小品が沢山来ていたのです。型物で量産をしているということは、テラコッタ製の彫刻を家に置くことが普及していたという証。中には手足が動くテラコッタ製の人形もあって、今のぬいぐるみやリカちゃん人形の様な役割を果たしていた、と考えられます。テラコッター(テラコッタを作る人という意味の私の造語)の自分としては憧憬です。
気がついたら2時間半も見ていて、京都らしい昼食をとる時間もなく、簡単に済ませて近代美術館の「プライス・コレクション:伊藤若冲と江戸絵画展」へ。
チケットを買おうとしたら見知らぬ御婦人から招待券をいただけてラッキー!!
「奥様どうもありがとうございました。」この場を借りて改めて御礼申し上げます。以前、私も神戸で余った券を若い男性に差し上げた事があるので、小さな親切が巡り巡って帰ってきたのかなぁ?…ウン!やっぱり美術ファンには悪い人はいない…と勝手に納得。
行列は開館時だけの出来事だった様で待ち時間なく2階の企画展示室へ。当然ながら「ルーブル展」とは打って変ってどっぷり和の世界。でも気持ちはスコンと入って行けました。会場内には和服姿がちらほら、こんなところで京都らしさを感じたりして。
コレクターのプライス氏の眼力も凄いが、なんといってもメインの伊藤若沖の面白い事。超細密だったり、ざっくり描いたり、漫画の様だったり、現代美術の様だったり…多彩な画風を楽しめました。日本画好きのNさんも堪能した様子。個々の作品については教室でお土産の図録見ながら詳しく解説しましょう。興味のある方は加藤まで声をかけてくださいね。
プライスコレクションの凄さはその量にもありました。普段は常設展示をしている会もほぼ全て江戸絵画がズラリ。1階のロビーまで特設会場がしつらえてあって、この展示も見ごたえありました。所要時間3時間半、でも長かったーって感じがしない良い展覧会でした。
第3目標の美術館「えき」京都の「ミュシャ展」に行くまでの間に、国立博物館に行けるといいなと思っていましたが、案の定時間が足りず、迎いの三十三間堂を拝観。私は1年前にも訪ねましたが、何しろ1001体の仏刻が並ぶ様は迫力満点だし、見る度にいろいろ発見があって飽きません。
今回の発見の幾つか…近頃きれいに塗り直された外壁にあたる夕日の反射光が御堂内にはいると黄金色の観音像群が朱に染まるのです。また閉館直後に庭先にいると短時間の読教が聞けます。そして戸締りの際、いつもは閉じられた障子が一瞬開いてズラリ並んだ観音像が引きのある位置から拝見できます。これらは午後4時30分頃に入ると体験できます。三十三間堂には是非その時間帯を狙って入館しましょう。お客さんも少なくてゆっくりできますよ。
御堂を出て歩いて京都駅に移動。途中にあるいろいろなお店も5時を回るとさすがに閉めていて街ブラは楽しめませんでした。一軒だけギャラリーに入って鑑賞。陶器・ガラス・フェルト・乾湿…センスの良い小物達が、凄い作品を沢山見てきた頭をほぐしてくれます。
京都駅のビルにある「手塚治虫ワールド」をNさんに教わって初めて行って見ました。おとなの入館料200円で永遠のヒーロー「アトム」と「ブラックジャック」のヴィデオを見て、時間のある人は手塚漫画読み放題。隣のショップもファンにはたまらないスポットですね。
美術館「えき」京都は駅ビルの伊勢丹7階にあり夜8時までやっているので、他の美術館や寺社仏閣を廻った後にゆっくり行けるのが嬉しいところ。「アルフォンス・ミュシャ」の描く女性像は裕雅で気品に溢れています。(三越のイメージキャラもなっていたあの女性達ですよ)これも学生時代にはじめて見て以来、何度も繰り返し見ていますが、またまた惚れ込んでしまいました。
またまたゆっくりしすぎて夕食も取れないまま新幹線乗り場に急行!!駅弁もほとんど売りきれて選べない。今回は食に全く縁の無い旅でしたが、その分良い作品をたっぷりゆっくり見ることができて、Nさんの言うように美術で超満腹、お腹いっぱいになれました。
美術館好きには展覧会三昧の天国ツアーですが、美術が根っから好きでしかも根性が無いと、まるで美術館鑑賞の「虎の穴」=地獄の一日です。こんなシンドイ美術館はしご旅に良くぞついてきたね、Nさん。あんたはエライ!!きっと大物になるよ。
長い書き込みですが、それだけ「芸術の秋」を堪能した濃い旅だったというわけでお許しを…。
展覧会の図録や資料は己斐教室で開架しますので、皆さんもご覧ください。
さて10月中旬から冬には兵馬ヨウが京都に、春にはロダンが神戸に来ます。こんどは食もショップも楽しめるゆっくり旅を考えます。皆さんよかったらご一緒しましょう。