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イラスト:リンゴ

イラスト:絵具と人物

芸大美大受験科 2023.05.11

美大紹介(専攻別)その4 油絵科編-2

油絵科入試でよくある課題は
「木炭デッサン」「油絵」の2つです。
「木炭」というのは文字通り木の炭。

バーベキュー用の木炭と質的には同じですが、画用木炭は細く繊細な表現のできる高級品でその濃淡で描きます。

 


近年の入試ではその使い方が少しずつ変化してきています。
木炭と鉛筆を併用または選択制だったり、
描くモチーフは以前は石膏像が多かったのですが、近年は卓上の静物モチーフだったり、抽象的なテーマを与えられることも多くなりました。

たとえば23年度東京藝術大学油絵科の入試問題は「午前7時のあなたの手」というテーマでした。

モチーフが出題されても、そのまま描く場合もあれば、モチーフの一部だけ描いたり、モチーフにそこからイメージされる物を描き足したりもします。


前回紹介したデザイン科では、「わかりやすく魅力的に伝達する」というデザインの目的が反映された課題への取り組み方でしたが、油絵科では自分なりの表現に重きを置かれるため、より柔軟な解釈の取り組み方になるのです。

 

「油絵」はもうお分かりですよね。

油絵科だから油絵を描くのは当然のように思います。
でも、油絵を描いたことのある人は不思議に思うかもしれません。

「油絵って乾くのに時間がかかるよな?」

そうです、早くて2〜3日、遅いと一週間以上乾かないこともあります。

対して、油絵科の入試の時間はたいてい長くても12時間(6時間×2日)、短くて6時間程度です。普通に考えたら乾かないのでとてもじゃないけど描けません。
そのため、入試用の油絵では「速乾メディウム」という、乾きが早くなる混ぜ物を使ってむりやり乾燥させます。また手順や進め方を工夫しながら、時間内に完成させるのです。

ダヴィンチはモナ・リザに毎日少しずつ加筆したと言われていますが、少しずつ塗り重ねて堅牢な画面を作る、ということは入試用絵画ではできません。

(ということはダヴィンチは現在の美大には進学できないかもしれませんね。)

でも、短い時間で完成させる練習を積むことで油絵の特性に慣れ大学での学びに活かしていくのです。


油絵の課題も近年変わってきています。

例年人物画だったが静物モチーフになったり、そもそも入試会場ではなく自宅で描いた自画像の油絵を持参するよう指示があったり。

「人間」というモチーフは絵画表現では欠かせないテーマですが、コロナ禍において密集する試験会場の中でマスクを外すことに問題があって、課題の変化があったと思われます。

 

入試課題の変化は時代の変化の中で大学が求める学生像が変化をしていることの表れです。

大学もさまざまな工夫をしながら、学生の選抜にあたっているのですね。