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キッズクラス・ジュニアクラス 2023.05.31
アナログとデジタル 後編
前回のブログ(https://www.a-pao.com/26922/)に続き、アトリエぱおのデジタルアートプログラムについての解説後編です。
さて、今回はアニメーションを2通りの作り方で作ります。
1つは、フェナキストスコープ(おどろき盤)やゾートロープを使って作る、アナログのアニメーション。
もう1つはiPadのアニメーション制作アプリを使って作るデジタルのアニメーションです。
アナログのアニメというと、厚めの本のページの隅に書いて素早くめくると動いて見える「パラパラアニメ」を想像されると思いますが、めくるのが難しいのと、せっかく教室で作るのでもうちょっと凝ったものをと考え、フェナキストスコープにしました。
フェナキストスコープ(おどろき盤)やゾートロープはどちらも隙間のある紙に連続した絵を描き、回転させてその隙間から絵を覗くことで動いて見える、原始的なアニメーションです。
どちらも百年以上の歴史のあるものです。
面白いのはどちらも、普通に回して見ても全く動いて見えないのですが、黒と黒の隙間から覗いて見ると、ちゃんと動いて見えることです。
これは大人でも、驚きで「おおっ!」と声がでます。
「不思議!何で?」と思います。
それに対して、デジタルアニメーションはアニメ制作アプリを使います。
順番に絵を描いていき再生ボタンを押すと、絵が動き出します。
色もつけられますし、自分で撮影した画像や動画を背景にすることもできますし、動画をなぞって作るロトスコープも作れます。
すごいです。すごいんです。
でも見たときに「すごい!」とは思いますが「何で?」とは思わないんです。
ここが大事なところです。
iPadやコンピューターはすごいことができますが、使っている私たちは「なんで?」という疑問を持つことはありません。
なんでもできる箱だと思っているので、いちいち疑問を持つことはないんです。
でも、自分の手で描いて切って作るアナログアニメは自分の手で作るから「何で?」という疑問を持つのです。仕組みを知りたくなるのです。
この「疑問をもつ」ということは子どもたちにとってとても大事なことです。
全ての行動の出発点です。疑問を持つからこそ、そのことを調べたくなるし、試してみたくなるし、仕組みを理解したくなるんです。
知的好奇心を持つことはあらゆる学習の原点ですし、人間がここまで進化することができた原点だと思います。
アトリエぱおの2022年はiPadを使ったデジタルプログラムが始まった年でした。
そのためにクラス一人一人にiPadが行き渡る環境を作りました。
スタートする時に思ったことは、「デジタルもやるけど同時にアナログもやることが大事」ということでした。
レッスンで取り組んだ〈デジタルモンスター〉ではiPadと絵の具の両方で絵の具の滲みを作りました。
どちらを使っても同じようなことができるのですが、絵の具を実際に使うと「なぜ滲むのか」がわかります。
〈レイヤーアート〉はコンピューターグラフィックで必須のレイヤーを、透明フィルムを使って描くことで体験しました。
これはその後に取り組んだレッスン〈デジタルコラージュ〉や今回の〈デジタルアニメ〉でも生きてきています。
透明フィルムでアナログのレイヤーを体験しているので、デジタルでのレイヤーの理解がとてもスムーズでした。
アニメーションはそもそも大変な時間がかかります。1枚ずつ描いたり撮影したりして作るのですから。
でもデジタルは、コピーペーストもできるので非常に短時間で作ることができます。
便利さを取ることはとても大事なことですが、便利さを取ることによって失うこともあることは、知っておいていいことだと思います。
今回の内容は、わかりやすく動画を作っておりますので、そちらもぜひご覧ください。
こどもクラス主任 浅原
「アナログとデジタル後編」
https://youtu.be/WUUrb2yypiY
「アナログとデジタル前編」
https://youtu.be/m8MIGF0Hrq4