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イラスト:絵具と人物

会員さんへのお知らせ展覧会 2023.09.26

作品「Z」によせて 加藤宇章

第51回広島彫刻会展に、アトリエぱお代表の加藤宇章が出品しました。

作品について、解説をします。

 

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作品タイトル 「Z」
サイズ 幅180㎝ 奥行60㎝ 高さ100㎝
素材 段ボール、ジェスモナイト、他
 
○素材や技法について
台は大地に埋もれたたくさんの人の遺体を表しています。
粘土にテラコッタで造ったドクロの型を押し当てた後、新素材「ジェスモナイト」で型取りしアクリル絵の具で彩色しています。
戦車は段ボールやペットボトルのキャップや滑り止めのゴムやホースなど、あえて我々の身の回りに溢れた廃材やチープな素材で作っています。
1世紀の歴史を持つ戦車の中でも初期のモデルを参考にしています。
白くペイントしたマークはアルファベットのZを2つ重ねてファシズムのシンポルを模しています。
砲塔部分は男性の象徴にも見立てています。
 
○作品のコンセプト
ロシアによるウクライナ侵攻のニュースに触れた際、21世紀のヨーロッパで、私も5年前に訪ねたあの美しい国がこんなことになるなんて!と驚きました。
独裁者は「歴史認識」などの御託を並べ、「特別軍事作戦」などと名前まで変えて、侵略戦争を正当化しています。が、その根本は支配欲、権力欲、闘争本能の現れとしての領土的野心である事は誰の目にも明らかです。
いえ現代のロシアだけではありません。アフリカでもアジアでも未だに戦争や暴力による支配は現実のものですし、過去のヨーロッパの大戦、日本のアジア支配も、そうでした。
大義をかざし、危機を煽り、名前をすり替え誤魔化す、隠蔽し、圧をかけ、忖度させるなどの、汚い手口は現代日本でも横行しています。
現生人類=ホモサピエンスの雄のある種の本能的な欲望が、兵器というオモチャを得て、その結果として殺戮や悲劇が幾度となく繰り返され来たのが人間の歴史の闇です。
ホモサピエンスー知恵のある人属の種として、その特性である知性や創造性によって、特にオスがその野蛮な幼児性から脱却できなければ、このような悲劇は永遠に繰り返されるでしょう。いや、もうオトコ共には期待できないのかもしれましん。今後は女性の活躍と権利の拡大が、痛ましい歴史を変える鍵になるのではないでしょうか?
未来に希望を託すだけでは、今起こっている殺戮は止めることができません。しかし我々には直接的にそれ止める力がありません。
では我々美術家にできることは何か?
臆せず自身の意思や考え感情を表現し、作品を通じて人々に訴えかけることだけかもしれません。
それだけかもしれないけれど、それだけでもできる、発信する自由が我々にはまだあります。
美術や文化に政治を持ち込むな、との考え方があることは承知しています。私も普段はノホホンとしたテラコッタの彫刻を作っています。
もしここがロシアであれば、私は今頃拘束されて太田川でドザエモンになっていたかもしれません。
我が国がそんな国にならないためにも発すべきことを発する表現の自由を守り続けたいと思います。
 
 
 
 
 
加藤宇章