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芸大美大受験科 2024.01.30
「構造を意識しながら描く」藝大美大受験科
受験科は三学期の授業が始まりました。
三学期最初に取り組んだのは、ちょっと変わった課題。
紙管を組み立てて作るこども用の椅子を、仮組みしながら観察し採寸しスケッチを取ります。
充分に取材したあと「組み立てた椅子は見ずに」、スケッチと観察記録と記憶で、完成した椅子を予想して描くのです。
デッサンはもちろん、観察が非常に重要です。
それは「見たまま」に描くことですが、見るだけでは「見たまま」に描くのは案外難しいのです。
例えば見たままに箱を描いたはずなのに、できてみると蓋がしまりそうにない箱になったり‥
(別のブログでも言及しています。https://a-pao.com/31464/)
ですから、それを補完するために、形の成り立ち・構造を考えるのです。
「芯が真ん中に通っているから、こうなるはず」とか、「蓋がかぶさるから、身より大きくなるはず」とか、観察や取材に基づいて構造を考えると、よりわかりやすく的確に形を捉えることができます。
デザイナーやクリエイターが既に存在する物を描くだけではオリジナルのデザインをしたとは言えません。
存在していない物をイメージして、さも存在しているかの様に描くーレンダリングするのがデザインの始まりです。
この課題はそこにつながるデッサン力を鍛える訓練です。