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プチクラスキッズクラス・ジュニアクラス 2024.07.23
プログラム解説:陶彫「ぼく、わたしとぱお」
こんにちは、こどもクラス講師の浅原です。
今日は、陶彫プログラム 「ぼく、わたしとぱお」についてです。
このレッスンで使うのは陶芸用の粘土で「陶土」と呼ばれるものです。
「ねんど」を漢字で書くと「粘土」。
「土」という文字がついてますね。
土を深く深く掘るとちょっとネバネバした土が出てきます。これが粘土です。
そして「陶土」とは、お茶碗やお皿を作ることのできる陶芸用の粘土のことです。
人間と粘土との歴史はとても古いです。土を掘ったら出てくるのですから、人間が土を掘るようになった頃にはもう触っていたはずです。
動物も虫も土を掘るのですから、それは人間誕生と同時と言って良いでしょう。
では、粘土を使って何かを作り始めたのはいつ頃でしょうか?
諸説ありますが、最も古い土器は縄文土器で約1万5千年前のものが出土しています。
ということは少なくとも1万5千年前には、人間は粘土を使って何かを作っていたのです。
粘土は作った後に焼くことで固くなり、また水にも火にも強くなるので、長い時間が経過しても残るのです。
そしてその1万5千年前からの記憶は、私たちの遺伝子にもきちんと残っています。
子どもたちは粘土工作が大好きです。
大人でも粘土を触るのは楽しいし、その柔らかい触感に癒されます。
粘土造形は、おそらく最もプリミティブな造形活動なのではないでしょうか?
アトリエぱおで粘土を使うのは、最もプリミティブな造形活動だからです。
しかし、プリミティブだけをやるのでは不十分です。
世界は縄文土器でストップしているわけではありません。
これまでにも紹介しましたが、アトリエぱおではデジタルプログラムを定期的に行っています。
1人1台のiPadを使って、ドローイングやコラージュなどデジタルでの作品制作にも取り組んでいます。
デジタルからプリミティブまでを体験するのがアトリエぱおのカリキュラムです。
古いものから新しいものまで、その両極を体験するからこそ、その間になるものはなんでもできると考えています。
粘土の造形は、手のひら全体、指先のすべてを使って作ります。
冷たかったり、温かかったり、ネバネバしていたり、ザラザラしていたり。
手の動きや指の動きで粘土はいくらでも形を変えます。
道具を使わないからこそ、直接的な表現ができるので、幼い子でもかなり自由に自分のイメージを形にすることができます。
また手には末梢神経がたくさん集まっていますから、脳との情報交換はものすごい量になります。
まさに巧緻性の塊です。
さて、今回のプログラムですが「ぼく・わたしとぱお」がテーマです。
自分とぱおでの制作活動をテーマに作ります。
プチクラスとキッズクラスはプレート型、ジュニアクラスは立体型です。
陶土を使った造形プログラムは完成までにたくさんの工程があります。
その中で子どもたちが実際にやるのは「成形」というところだけです。
粘土練りから切り分け、制作後の裏処理、窯場への運搬、乾燥、陶芸用窯に窯入れ、焼成、冷まし、窯出し、梱包、窯場から運搬、と、さまざまな工程を経て子どもたちの手に作品をお渡しできるのは1ヶ月から1ヶ月半後になります。
もっとも古い陶土の作品が1万5千年前ということは、今回作る作品は1万5千年後まで残る可能性があります。
陶器は水にも火にも強いので、洪水がきても火事が起きても残る可能性があります。
割れることはあっても欠片は残ります。
ということは、1万5千年後の未来人が自分の作った作品を掘り出してくれるかもしれません。
そのときに、1万5千年前の地球人はこんな服を着て、こんな髪型をして、こんなものを持っていたんだ、と思ってくれるように、2024年の今のこどもたちの姿を作品に残したいと考えました。
そして「アトリエぱお」という場で作品を作る子どもたちの姿を残したいと考えました。
1万5千年後にはもう人間は絶滅していて、別な生き物が地球を支配しているかもしれません。もちろん私たちはもう生きていませんが、作品は1万5千年後の未来人に会うことができるかもしれません。
1万5千年も残るものってそうあるわけではないですよね。
そう考えるとなんとも壮大な作品作りではないでしょうか?
デジタルのデータは形も重さもないのでとても便利ですが、いつまで残せるのかわかりません。なぜなら過去の事例がないからです。
それに比べて陶土の作品は1万年以上残ることが実証されています。
そしてしっかりと重みも手触りもあり、存在感があります。
ぜひ、一万年を超える人類の歴史を触って確かめてみてください。
今回のブログは YOUTUBE解説動画で近々アップします。
リンクはLINEで配信しますので、ぜひお子様と一緒にご覧ください。