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イラスト:リンゴ

イラスト:絵具と人物

芸大美大受験科 2024.11.10

日本画実習 芸大美大美術系高校受験科

こんにちは。芸大美大受験科講師の三浦です。
この度は、先日行った日本画実習についてご紹介します。
6月ごろに昼間部生を対象とした日本画実習を行いました。

(こちらをご覧ください https://a-pao.com/34285/)

この度の日本画実習は高校1~2年生を対象としました。

実習時間は前回と同じく4単位(1単位3時間半)です。
日本画志望の生徒はもちろん、他科志望の生徒も興味を持って参加してくれました。

まずは日本画とはなにかということや、日本画で用いる画材の説明を行います。
説明を一通りした後、好きなモチーフを持ってきて画用紙に描いていきます。


本番の日本画は和紙のボードに描きますが、いきなり和紙に鉛筆で描くことは難しく、別の紙に下図を描き、描いた図を和紙のボードに転写する必要があります。

 

 

画用紙に下図を書き終えたら、そこにトレーシングペーパーを重ね、本番の和紙ボードに移す線を抽出します。
トレーシングペーパーに線を移し終えたら、念紙(日本画制作に用いる転写用紙)を用いて下地を塗った和紙のボードに転写します。
その後、和紙ボードに移した線を墨の線でなぞり、いよいよ着色していきます。
日本画は工程が多く、本画にたどり着くまでの道のりが長いです。

 

 

ところで、日本画の絵具は胡粉、水干絵具、岩絵具などがあります。

それぞれ特性や使い方が異なり、用いる順番にも注意が必要です。
どのように絵具を塗り重ねれば理想に近い絵になるか、一人ひとり講師と相談しながら作業を進めます。

 

 

 

昼間部を対象にしたときも同じでしたが、使い慣れない日本画の絵具に悪戦苦闘している様子が多く見られました。

それでもみんな絵具を積極的に使い分けて絵を描き進めます。

どんどん塗り進め、4単位目には魅力的な作品が出来上がりました。

 

 

 

モチーフの貝殻の凹凸に合わせて岩絵具を盛り上げて描いている生徒や、ザラザラの下地を作った上に絵具を重ね、迫力のある画面を作り上げた生徒もいました。
バリエーションに富んでいて、見ごたえのある作品ばかりです。

日本画を描く機会はなかなかありません。

日本画科を志望する生徒ですら、大学入学前に日本画を描くことは稀です。
日本画の面白さを味わい、大学入学後の制作を楽しみにしつつ日々の課題制作に取り組むためにも、高校生の皆さんにはこのような実習に積極的に参加してみてほしいです。

また、他の科を専攻する生徒たちにとっても、日本画を描く上で重要な「作業工程を組み立てる意識」は普段の課題への取り組みの中でも役に立つのではないかと思います。

今回日本画を描くうえで感じたことをこれからの制作にどんどん活かしていってくれたら嬉しいです。

以上、日本画実習のご紹介でした。