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イラスト:リンゴ

イラスト:絵具と人物

キッズクラス・ジュニアクラス会員さんへのお知らせ展覧会 2026.03.06

ホキ美術館へ行ってきました

みなさんこんにちは。 こどもクラス講師の中島です。

先日、写実絵画専門の美術館、ホキ美術館へ行ってきました。

2010年に千葉県に開館した美術館で、地上1階・地下2階からなる回廊型ギャラリーです。

宙にぐっと張り出した外観はとても印象的で、静かな佇まいの中に強い存在感を放っています。 展示室はゆとりのあるシンプルな造りで、一点一点の作品とじっくり向き合うことができる空間だと感じました。

今回この美術館を訪れたのは、私の作品がホキ美術館大賞に入選し、展示していただいたご縁があったからです。

自分の作品が並ぶ空間で、あらためて写実という表現と向き合う時間を持つことができました。

さて、写実絵画とは何でしょうか。 多くの方が「写真のようにリアルな絵」というイメージを持たれていると思います。

しかし、それだけでは不十分だと私は考えています。 もし写真をそのままキャンバスに写し取るだけであれば、

それはスーパーリアリズムやフォトリアリズムと呼ばれるジャンルに近いでしょう。

実際、写実絵画の制作の過程で写真を用いたり、実物と併用したりすることはあります。

しかし、写実絵画は単なる写真の模倣ではありません。

そこには画家のものの見方や哲学、そして念い(おもい)が込められています。

表面的・記号的に一瞬を切り取る記録写真とは、本質的にまったく異なる表現なのです。

実際に美術館で作品と向き合えば、その違いはきっと伝わるはずです。

私自身、そのことを強く実感しました。

訪れたときは、風景画をテーマにした企画展が開催されていました。

同じ「写実」「風景画」というジャンルでありながら、

作家ごとに視点や捉え方、表現の方法がまったく異なります。

それぞれに魅力がありますが、なかでも五味文彦さんの風景画「樹影の道」、「晩夏」には圧倒されました。

描かれた森の中の風景は強い存在感を放ち、こちらに迫ってくるような感覚があります。

底知れない没入感に包まれ、気づけば時間を忘れて見入っていました。

単に写実的というだけではなく、描かれた対象が現実を超えて立ち現れてくる。

それは印刷物やモニター越しでは決して体感できないものです。 本物の写実絵画を体感できた。それだけで「来てよかった」と心から思いました。 写実絵画に対する、「写真のようにリアルな絵」というイメージは崩れるはずです。 ぜひ一度、足を運んでみてください。

さらに写実絵画について理解を深めたい方には、

日本写実界の巨匠、野田弘志さんの著書『リアリズム絵画入門』もおすすめです。

描き手としても鑑賞者としても、写実絵画との向き合い方を教えてくれる一冊です。