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キッズクラス・ジュニアクラス 2025.02.28
「段ボールで作る抽象彫刻」について
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こんにちは、こどもクラス主任の浅原です。
キッズクラスとジュニアクラスは、「段ボールで作る抽象彫刻」に挑戦しています。
2025年は抽象作品の制作に積極的に取り組む年ということで、今回のプログラムでは「無意識」を最大限に活かす方法を試みました。
ここでいう無意識とは、普段自覚していない心の領域のことで、フロイトやユングの研究でも、意識はごく一部であり大部分は無意識が支配しているとされています。
この「無意識」によって作品を制作する芸術運動のことを「シュルレアリスム」(日本語で「超現実」)と言います。
代表的な作家が、サルバドール・ダリやルネ・マグリットです。みなさんはこれらの作品を見たことがあるのではないでしょうか?
シュルレアリストたちは「無意識(夢)」と現実の間にあるものを「超現実」と呼び、これこそが最も芸術的であるという考えに立って芸術活動を行ってきました。
今回の段ボール工作ではこの「シュルレアリスム」的なアプローチを試みました。制作過程の80%まではできるだけ無意識で制作をし、残り20%は意識的に制作するのです。
「無意識に作る」と言われても、そんな急にできるわけではありません。
試しに目を瞑って頭の中にあるものをすべて無くして、無心にしてみましょう。瞑想や坐禅、ヨガなどを普段からやっている方でなければ、まずできませんよね。
あくまでも「できるだけ無意識に」です。
いつもやっているように、赤色を塗ろうとしたり、丸く切ろうとしたりせず、できるだけ何も考えずに手が自然に動いていくのに任せるくらいのつもりで制作をしました。
ここで強調しておきたいのは「無意識に作ることは、適当に作ることではない」ということです。
一生懸命、何も考えず、無心に無意識に制作するのです。
そのように制作を進めると、ある瞬間、これって私が作ったの?という作品が目の前に現れます。
そこで初めて意識を動かして、それが何に見えるのかを考えます。
例えばそれがニワトリに見えたら、もう少しニワトリに見えるように細部に手を加えていきます。このようにして制作した作品が画像の作品たちです。
抽象作品はそれだけでは何か分かりにくいので、タイトルと解説を書いてもらいました。これを読むと「ああ、なるほど」と思えます。
また、シュルレアリスムは文学運動でもあったためなのか、タイトルも文学的なものが出てくるのがおもしろいところです。
抽象作品の制作は普段の制作方法とは大きく違うので「今までの方法が通じない」という状況です。
そうなると脳は新しい方法を探します。これが脳に非常に良い影響を与えます。
こういう経験をたくさん積んだ脳はアクシデントが起こっても思考停止したりせずに必死に新しい抜け道を探すのです。
例えばほんの数年前、コロナによって私たちの生活は激変しました。昨日までやっていたことができない、通じない、という状況になりました。
そんな中でも新しいアイデアと行動力で切り抜けた人や企業がたくさんありました。
わたしたちがやっていることは、そんなことができる脳になるトレーニングだと思ってください。
シュルレアリスムの立役者、アンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を出版して世界にシュルレアリスムの誕生を宣言したのが1924年。昨年が100周年ということで、世界的にシュルレアリスムがまた注目されています。
サルバドール・ダリの大規模な展覧会が4月に広島県立美術館で開催されますから、今年はシュルレアリスムに要注目です。
浅原