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キッズクラス・ジュニアクラス中高生クラス・おとなクラス芸大美大受験科 2023.02.06
美術系進路ってどんなもの? 2
前回は、美術系の大学について簡単にご説明しました。
今回は、では実際の試験はどんな様子なのか?についてのお話しです。
美術系大学のほとんどは、入試に実技が必要です。
実技を学ぶ大学ですから、当然といえます。
しかしながら、多様化の進む美術の世界において、試験の方法も多様化しています。
①試験会場で制作する
大多数の試験方法です。
試験時間は様々で、特に「ファイン系」と呼ばれる日本画、油画、彫刻などの専攻が長い傾向にあります。
デッサンを基軸に各専攻毎の適性を見る試験が科されます。
6時間×2日の12時間の試験もあれば、2時間程度の短い試験もあります。
国公立大学だと5〜7時間程度が2課題の試験がメジャーです。
「6時間の試験って、長くない!?」と思われるかもしれませんね。
これが実際に制作すると全く時間が足りないのです。
試験を想定した課題を練習するときは、初めの内は倍以上の時間がかかることもあります。
これを徐々に試験時間に間に合わせる訓練も必要になってくるのです。
②自作作品を持参する
出題されたテーマをもとに制作した作品を持ち込んで、面接やプレゼンを行う試験方式です。
コロナ禍で会場での制作が難しくなったことにより導入した大学もあります。
もちろん、試験時間はありません。
制作テーマの発表から提出までの期間が試験時間とも言えます。数か月だったり十数日だったり様々です。
自宅や学校でじっくり制作することが可能ですから、普段の力を十分に発揮できます。
各々が自分にとっていい環境で制作できるので、言い訳がきかないとも言えますね。
③作品集を持参する
作品の実物ではなく、今まで制作した作品をまとめた作品集(ポートフォリオ)を持参(または事前提出)し、面接やプレゼンを行う試験方式です。
今までの取り組みや今後の研究の方向性が問われるので、普段からの制作が重要になります。「総合型選抜」(旧AO入試)で最近増えている試験方式です。
①と、②③を組み合わせた試験もあります。
アトリエぱお藝大美大受験科では、志望大学の試験方式に合わせて、講師が生徒と相談しながら対策を練っていくことになります。
①の試験問題にはおおまかな傾向がありますが、それが予告なく変わることもあります。
例えば、昨年までは「りんごとコップを描きなさい」みたいな試験だったはずなのに、今年急に「りんごを取り巻く社会情勢を絵で表現しなさい」になる可能性もあるのです。
これはもちろん極端な例です。
①の試験で柔軟に対応できる力を身につけるという意味で、③の作品集に載せるようないろいろな制作を普段からしておくことが重要です。
①〜③の試験方法はまったくかけ離れたものではありません。
なぜかというと大学が受験生に求める能力は入試問題の傾向と対策の良し悪しではなく、大学での研究に活きる本質的な能力つまり研究の幅広さ、柔軟性など受験生の本質に根ざす力であって、どの形式の試験でも目指すものはほぼ同じといえます。