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芸大美大受験科 2023.04.21
美大紹介( 専攻別)その3 油絵科編①
美大の専攻紹介、次は油絵科編です。
油絵科、日本画科、彫刻科は「美術学科」や「絵画科」(この場合は彫刻は除きます)にまとめられ、専攻やコースで分けられることも多いです。
今回は便宜上「油絵科」という名称で紹介しますね。
油絵科はその名の通り油絵を描く学科…と思いきや、実に多様な制作をします。
大学に入ってからほとんど絵を描かない人もいるぐらいです。
そうかと思えば、写真よりもリアルな写実画に取り組む人もいたり、筆のあとを残した(おそらくみなさんのイメージに近い)油絵を描く人もいます。
これは大学によって大きく異なります。
もちろん大学教員が作品の傾向を強制するわけではありません。
大学の先生も画家なので、その先生から学びたくて集まった学生が同じ傾向の絵を描き、結果的に大学ごとの傾向ができあがっていくのです。
では絵を描かない人は何をするのか? これもいろいろありますが、その中に「インスタレーション」を制作する人がいます。
インスタレーションとは現代美術の表現方法のひとつで、「絵画」「立体」といった単体の作品ではなく、空間全てを作品にするものです。
自分が描いた絵を含めた空間を作ったり、既製品や自然物を組み合わせたりもします。
1970年代に登場した比較的新しい表現方法です。
芸術の表現方法は多様化・横断化しており、油絵を描きたくて油絵科に入っても、表現を模索するうちにインスタレーションにたどり着くことは往々にしてあるようです。
そしてそれは彫刻科、日本画科といった「ファインアート系」と呼ばれる表現を追求する学科でも同じです。
それ以外にも、大学にもよりますが、壁画、版画などに取り組んだり、古典技法を研究する人もいます。
また、こちらもファインアート系(油絵・日本画・彫刻)全般に言えるのですが、映像表現や漫画、絵本等の表現を追求する人も多いです。
先のブログで、「漫画・アニメはデザイン科の分野と思われがちだがそうでもない」とご紹介しましたが、この分野は表現を追求するファインアート系の方が向いていると言えるかもしれません。
実際、美大出身の漫画家・アニメーターはファインアート系の出身者が多いです。
例えば、美大受験を描いた漫画「ブルー・ピリオド」の作者は東京藝術大学の油絵出身ですし、「竜とそばかすの姫」などを手掛けたアニメ監督の細田守は金沢美術工芸大学の油絵出身です。
(もちろん、デザイン科出身の人もいますよ。)
油絵の画家を紹介するには、多岐に渡りすぎて絞りきれないので、広島にゆかりのある人を少しだけ紹介しますね。
南薫造(1883~1950)は現在の呉市安浦出身で、近代洋画史を代表する画家の一人です。
安浦町に南薫造記念館が建てられています。
写実絵画で有名な野田弘志(1936~)は福山市出身で、現在広島市立大学の名誉教授です。
もちろん他にもたくさんいます。
広島にはたくさん美術館があり、いろんなテーマで展覧会が行われていますから、ぜひ見に行ってお気に入りの作品を見つけてくださいね。
天野美穂 受験科主任