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やすこ先生の、子育てのヒント 2023.10.12
「あしたがくるのが心配な時に。」
こどもにとって夜はどんな時間でしょうか。
楽しい一日を学校や園で過ごして、
バタンキューで眠った日は心配は無用なのですが、
あした、学校に行くのが嫌だな、不安で眠れない、と
心配しながら、目を閉じるこどももいるでしょう。
健やかな身体を作るには睡眠を摂ることが大切ですが、
こころの成長にも良い睡眠や心の栄養が必要です。
家族のあたたかさに包まれ、色々な人とめぐり逢い、
たくさんの本に出合うことも心の栄養になります。
今回は眠る前の不安を和らげる絵本のご紹介です。
絵本 『びくびくビリー』
作 アンソニー・ブラウン
訳 灰島かり 訳 評論社
ビリーはいつも心配事がたくさんあって
びくびくしている男の子。
雨が心配だし、巨大な鳥にさらわれるかもしれない・・
おうちのひとに「パパやママがついているよ」
と言われても気が晴れません。
やっぱり心配で眠れないというビリーにおばあちゃんは
「そうだったのかい、おばあちゃんもこどものころは心配ばかりしていた」と
ビリーの気持ちをうけとめてくれ、おばあちゃんは
「しんぱいひきうけにんぎょう」をビリーにくれました。
そこで彼はその人形に心配事を打ち明けて、
枕の下に入れて眠ると、
ぐっすりと眠れるようになったのです。
ところがまたしばらくすると、
ビリーに新しい心配事がうまれるのです・・・
おばあちゃんがビリーに贈ったのは
グアテマラに伝わるworry doll。
「しんぱいひきうけにんぎょう」という訳も面白いですね。
こどものお気に入りのぬいぐるみや毛布があれば
安心して眠れるというのはよく聞きますが、
この人形には、声に出して自分の不安を語る、
というところが、とても重要に思えてきます。
人形に話すことで自分は何が心配で不安なのか、
はっきりしてくることが、
心の安定に繋がっていくのではないでしょうか。
絵本 『なんなんなん?』
文 マック・バーネット
絵 カーソン・エリス
訳 アーサー・ビナード 小学館
庭の花々にやさしく声をかけているおばあちゃんに
ぼくはきいてみた、
「ね、なんのためにいきているのかな」
おばあちゃんはぼくをぎゅっとだきしめて、
「なんなんなん…」とささやいた。
「そのこたえをさがすんだよ、なんなんなん、
なんのためかな。」
それでぼくはたびにでた。
最初に出会った漁師は大切そうに魚を抱いています。
「なんなんなんのために いきているのだろう」
漁師はなんのため。と答えてくれるでしょうか。
ぼくはダンサー、大工や犬にもたずねて行きます。
果たしてぼくは、
自分でこたえを見つけて帰ってくるのでしょうか。
このお話でもあばあちゃんが大切な役割で登場します。
おばあちゃんが育てている花々のきれいなこと!
まるで我が子のように大切にしています。
こんなおばあちゃんがいてくれるといいな。
やさしい気持ちを本からもらって、
今夜は心配な気持ちも消えて、
あなたもこどもも穏やかに眠れそうですね。
畠山 泰子