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芸大美大受験科 2024.08.04
油絵実習 芸大美大受験科
こんにちは、受験科講師の中島です。
先日の油絵実習の紹介です。
3日間で2枚の絵に取り組みました。
1枚目はグリザイユで描いた絵にグレーズで固有色を重ねます。
2枚目はアラ・プリマという技法で描きます。
油絵経験者や絵画に関心がある人であればこれらの技法を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
グリザイユ…白黒絵具のみを使い、形、立体感を描き出す。
グレーズ…絵の具を薄く溶いて重ねる。何層も重ねると深い色と透明感がでる。
アラ・プリマ…絵具の乾燥を待っての塗り重ねはせず、一気に描きあげる。即興的な描き方ができる。
2枚の絵を異なる技法で描き分けることで、初心者には油絵の具の性質を理解してもらい、油絵専攻志望者には表現の幅を広げてもらうことがねらいです。
モチーフは各々描きたいものを選んでもらいました。
グリザイユでは、固有色にとらわれず、ものの立体感をしっかりと描きだします。
その後1週間乾燥させ、グレーズで固有色を重ねていきます。
しかし、なかなか思った通りの色がでず、みなさん苦戦している様子。
グリザイユの段階で明度を調整しておかないとうまく発色しません。
また、一層だけでは深い色をつくるのは難しいです。
グレーズは本来時間をかけて行うものですが、速乾メディウム等を使えば受験本番にも取り入れることができます。
アラ・プリマでは乾燥を待って塗り重ねをしないため、パレット上でしっかりと色をつくり、的確にキャンバスにおいていきます。
短時間で作品を完成させる受験では有用な技法です。
自由度が高く、さまざまなおもしろい描き方が見られました。
2枚の作品を並べると画面に違いが見られたはずです。
扱い方によってさまざまな表現ができるのが油絵の具の魅力です。
ひとつの技法にこだわる必要はありません。
さまざまな顔を持つ油絵の具の性質を理解し、うまく自身の制作に活かしてもらえれば嬉しいです。