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やすこ先生の、子育てのヒントプチクラスキッズクラス・ジュニアクラス 2021.02.02
節分の日に 絵本「だいくとおにろく」
節分が近づいてくるとあちこちで 見かける鬼のお面。
怖いのもあれば 面白い顔もありますね。
このお話の鬼「おにろく」もユーモラスな鬼です。
絵本は見て楽しむもの、の言葉どおり、
あふれんばかりの川の水も 目玉ぎょろりの鬼の絵も、
昔話の世界を 紙面いっぱいに楽しませてくれます。
色彩あふれるページと白黒のページが交互になるように
構成されているので 見ていて飽きません。
怖いけど「おにろく」また出てこないかな、と思いつつ
どうやって鬼退治するのか いっきに楽しんでください。
世の中の困りごとは鬼の姿をしてやってくるのでしょうか
大雨のたびに川の水が氾濫して 橋がこわれてしまう。
村人は相談して 村一番の大工にどうにかしてくれと、
頼みますが そういわれても 大工はひとり困って
考えあぐねていると、川のなかから鬼があらわれ
どうやら 川が氾濫するのは鬼のせいだとわかります。
でも大工は鬼の話を聞くだけで はっきりと返事もせず
なにやら考えているようでしたが、
そのうちに、偶然 鬼を退治する方法を見つけるのです。
読んでいるこどもたちは 鬼のおかしさと 怖さを楽しみ
思いがけずに 結末をむかえることに驚くでしょう。
ああ、こんなお話もあるのか、と 何かが心に残ります。
私も 大人になって読み返してみると
お話の不思議な余韻に気が付きました。
それは この大工みたいに とても困っていても
なんとかなるんじゃないかと 思っているうちに
本当になんとか 解決することもあるのだということ。
子育てに まじめに向き合っているあなたに
難しい問題が出てきたとき、気負いすぎずに
なんとか、なるさ、といった気持ちをもつことも
必要ではないかなと 思わせてくれます。
アトリエぱお こどもクラスの時間に、
絵筆を手に取ったけど、どうしようか、と迷っている
そんなこどもの姿を見ることがあります。
でもいつの間にかまた 無意識のうちに
絵筆を手に取って 自然に動かしていくのを見ると、
なんとかなってきたね、と声をかけたくなります。
こども自身で ためしたり、やってみたりすることで
ヒントをみつけ、完成させていく。
はじめは難しいかな、と思っていたけど、なあんだ、
何とかできあがった、と思える瞬間がやってきます。
昔話には生きるヒントがあるのですね。
それを見つけるのも 読み手の私たちの気持ち次第。
やわらかい心で 絵本を楽しみたいですね。
畠山 泰子
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「だいくとおにろく」 松井 直 再話 ・ 赤羽末吉 画
福音館書店