Blog
やすこ先生の、子育てのヒントプレプチプチクラスキッズクラス・ジュニアクラス中高生クラス・おとなクラス 2022.12.19
絵本 ウクライナ民話「てぶくろ」
絵本 ウクライナ民話「てぶくろ」
この絵本はこどものためのおすすめ絵本リストによく取り上げられてきました。
それはどうしてでしょうか。
表紙のウサギたちのかわいらしい描写にその絵だけでも知っている方も多いかなと思います。
雪道でおじいさんが落とした手袋を見つけたおしゃれな民族衣装を身にまとったウサギやキツネたちは、
そのてぶくろの中に入って寒さからのがれようとします。
始めは小さな動物たちが入りこみ、だんだんと大きくてちょっと危険な様子の大きな動物まで入り込んで、と、
幼いこどもでも理解しやすいやりとりに、読み手も絵を見ながら一緒に楽しむことができますね。
そう、まさに絵の素晴らしさとお話の明快な進み具合が、世界中のこどもにとって名作となっているのです。
もちろんその楽しみ方で十分なのですが、表紙に「ウクライナ民話」と書いてあるのを改めて目に止めた方も多かったのではないでしょうか。
今年私はロシアからの侵攻によって、ウクライナがロシアの近くにあり、その大地はではたくさんの小麦を育てていることや、また夏にはひまわりが咲き誇る国だと知りました。
そして、
改めてこの絵本を読んでみようと手に取りました。
戦争はまだ続いていてとうとう年末になり、爆撃で破壊された街が、そのがれきのままこのクリスマスを迎えていることに心が痛みます。
破壊された街のなかで、ウクライナのこども達はお話の動物たちのようにぬくもりを求めて寄り添って過ごしているのではないでしょうか。
お話の終わりに動物たちは、おじいさんの犬に見つかってしまい、てぶくろから逃げ出してどこかへ行ってしまいました。
いまもあたたかい場所を探し続けているのかもしれません。
どこにいったのか、こどもと語り合ってみるのもいいでしょうね。
こどもの時に何度も親しんでいるお話によって、かれらの心の中に、ぬくもりや親しみや思いやりなどがゆっくりと根付き、やがて時間をかけて芽吹きます。
良い絵本は心の栄養になります。
こどもはあなたのそばで、ぬくもりを感じながらお話を読んでもらう時間が何よりも嬉しいのです。
寒い日にはぜひ、そんなひとときを楽しんでください。
畠山 泰子
ウクライナ民話 てぶくろ
エウゲーニ・М・ラチョフ 絵 うちだりさこ訳
福音館書店