アイコン
アトリエぱおとはBlog

イラスト:リンゴ

イラスト:絵具と人物

やすこ先生の、子育てのヒントプチクラスキッズクラス・ジュニアクラス 2019.08.04

8月6日 祈りの夜

また 祈りの夜がやって来ます。

 

アトリエぱお己斐教室は

太田川放水路の川岸から緩やかに

左手に曲がったところにあり、

四季のうつろいが感じられる

明るい場所に教室があります。

この太田川では74年前の8月6日に

被曝して水を求めた たくさんの人々があつまり

そのまま息絶えた 場所だと伝え聞いています。

 

私がこどもの頃 8月6日の夜には

太田川の土手にお坊さんがゴザを敷いて

長時間座って読経されていました。

それはマイクを通して己斐の街へ

川風に乗せられて響き やがて 山の上の

私の部屋まで届いていました。

もう寝ようと思っても 暗闇から聞こえるお経は

こども心に恐ろしく、昼間の慰霊碑での祈りや

夕暮れの灯籠流しの映像とが思い出され

なんとも言えない恐怖を感じる夜になるため

楽しい夏休みの中、8月6日が近づくと

いくらかの恐怖心をいだき複雑な気持ちでした。

おそらく90年代初頭までこの読経は

続いていたと記憶しています。

 

原爆も戦争も

 自分が生まれる以前の遠い過去で 

今を生きている自分には

あまり関係のないこととして、

日々を過ごすことができたとしても

どうしても避けては通れない日が

年に一度 かならず

 私たちのまち ひろしまにやってきます。

 

幼心に感じていた 

この夜がこわくて恐ろしい 、ということは

そのまま 戦争は、 原爆は 、恐ろしく 怖い

ということと繫がって今の自分の原体験に

なっているのだと ようやく気づきました。

 

いま ひろしまで 私たちは

毎夜 こどものやわらかな寝顔をみながら

それが どんなに平和な時間なのかを

気づくことすらできないほど、

幸せに過ごすことが出来ています。

 

どうか この8月6日の夜には

あなたとあなたの家族が 静かで

穏やかな夜を過ごせることに感謝して

ずっとずっと続きますようにと

祈りたい 。

 

その夜が もうすぐやってきます。

 

畠山 泰子