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やすこ先生の、子育てのヒントプチクラスキッズクラス・ジュニアクラス 2020.02.03
鬼もいろいろ。
節分にやってくる鬼 どんな姿をしてるんでしょう。
この『いっすんぼうし』に描かれる鬼は
突然現れたときの 怪しい笑い顔や
小さないっすんぼうしに 退治される鬼たちの
苦しそうな顔の描かれ方に とても迫力があります。
いっすんとは昔の単位で、およそ3センチくらい。
それくらい小さな『いっすんぼうし』は
どんなに小さなこどもでもいいから 授かりたい、
と願っている 老夫婦のところに生まれて来ます。
でも、何年経っても 大きくならないので、
父母も情けなく、周りからもからかわれるばかり。
そこで いっすんぼうしは都に行きたいと、
ひとりだちを 願うようになるのです。
あらすじは知っていても 親目線で読んでいると、
産まれるまでは どうか無事に、
生まれてくれさえすれば いいと願っていたのに
成長するにつれ、もっとこうなってほしい、と、
期待がひとり歩きしてしまいがちな様子 など
そんな場面に共感したり ちょっと反省したり。
やがて訪れる、自立の時。
いっすんぼうしの後ろ姿を見送る父母の
さみしそうな姿を 日本画の柔らかく
美しい色彩で描かれています。
いっすんぼうしは、
都で頑張って働き、姫を襲って来た鬼たちを
相手の口の中にまで入ってやっつけます。
まさに全力で。
そして 鬼が逃げるときに置いていった、
うちでのこづち で、立派な若者に変身していきます。
すでに自立心は持っていましたが、背が伸びて
誰が見てもかっこいい若者になるのです。
その活躍を楽しみ、あらためて鬼を見てみて下さい。
美しい絵を描く日本画家 あきのふくさんが
いきいきと、そして丁寧に描いていく
素晴らしい画集のように感じます。
ぱおのこどもが描く のびやかな絵と重なってきます。
桃太郎 泣いた赤鬼 こぶとりじいさん などなど
お話の数だけ 鬼もいろいろ。
どんな風に描かれているのか いろいろな本を開いて
楽しんでみませんか。
畠山 泰子
『いっすんぼうし』 いしいももこ 文 あきのふく画
福音館書店