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やすこ先生の、子育てのヒント 2023.09.13
それでもやっぱりかわいい大切なもの
夏休みが終わって子どもたちは
ますますパワーアップしてくるころですね。
そのパワーに負けじと、大人も日々お疲れでしょう。
ああ、今日も言うこと聞かない、約束守らない、
と叱っては、ほんとは叱らないおかあさんでいたい、
その葛藤でこころにモヤモヤを抱えてしまうあなたや、
どんな自分でもいつも無条件で愛されたいこどもたちが
いっしょに楽しんでほしい絵本のご紹介です。
絵本 「あくたれラルフ」
さく ジャック・ガントス え ニコール・ルーベル
やく いしいももこ 童話館出版
表紙のネコのラルフ、とっても悪い顔していますよね。
どうしてもやりたい放題いたずらしてしまい、
家族を困らせてしまうラルフ。
サーカスを見に行った時とうとうみんなを怒らせ、
そのまま置いて帰られます。そこでサーカスの手伝いや
思いもよらない数々の苦境に立たされるラルフ。
けれどやっぱりラルフのことが心配な家族が,,,,。
理屈など必要ない深い愛情を教えてくれるお話です。
きっとラルフみたいにいたずらしてみたいけど、
あんな風にできないなと思う子もいるでしょうし、
まだまだ自分のいたずらはラルフに比べたら
大したことないなと思う子もいるかもしれません。
でも、悪いことをしたら こうなるのよ、
なんて思惑でこの絵本を読むよりも、
それぞれがラルフに共感したり、
困っている家族に同情してラルフのことをこのまま
家に連れて帰らないのかな、と心配したり、と、
いろんな気持ちを一緒に体験することが、
絵本の時間のいいところ、だと思いませんか。
もう一つ、家族の愛につつまれるお話を。
絵本「どろんこ こぶた」
アーノルド・ローベル作 岸田衿子 訳
文化出版局
こぶたはやわらかーいどろんこに沈んでいくのが好き、
そしてそれをお百姓のおじさんとおばさんは
世界一かわいいこぶただ、といって可愛がっていました
しかしあるとき、おばさんが何もかも掃除してしまい、
そのどろんこも掃除して片付けていまったので
怒ったこぶたはうちをとびだしてしまいます。
そして外の世界でこぶたが見つけたものは,,,,
このこぶたはいたずらしないし、怒られたりもしない。
いつもの大好きな場所があれば
それが幸せと思っていたのに、その場所を奪われて
怒って出ていくのが、とてもかわいいですね。
もしもこどもが段ボールで作った家のなかで、
いろいろため込んで居心地よく遊んでいたのに
急に取り上げられちゃうような状況になったら、
やっぱりこどもたちは怒ると思います。
おとなの理屈だけでこどもをコントロールするよりも
大好きなもの、たいせつな場所を尊重してほしいと、
こどもたちも願っていると思います。
こどもは大人の気持ちも分かってはいますが、
それよりも自分のことを優先させたいのです。
こども時代にわがままも自己主張もいっぱいして
周りの人たちに深い愛情で包まれていくうちに
学んでいけることがきっとあるはずです。
あくたれのネコ、どろんこ好きなこぶた、
どちらも家族に愛され、やっぱりかけがえのない
大切な存在だとお互いに感じられる幸せを、
絵本から受け止めることができると嬉しいですね。
畠山 泰子